今日は、雨が降ったり止んだりする一日だった。
天気も悪いし、仕事が終わったら真っ直ぐ帰ろう。
そう思っていたのに、仕事を終える頃になって気が変わった。
いつものカフェへ寄ってみることにした。
雨の日のカフェテラスも、なかなか良い。
雨音を聞きながら珈琲を飲む。
いつもと同じ場所なのに、天気が違うだけで少し雰囲気が変わる。
さて、本でも読もうか。
そう思って、バックパックへ手を伸ばしたところで気づいた。
本がない。
普段、僕はバックパックのサイドポケットへ本を入れている。サッと取り出して、好きな時に読めるからだ。
ただし、雨の日は別である。
濡れてしまうので、今朝は家に置いてきた。
「しもた〜。」
直帰するつもりだったのだから、仕方がない。
とはいえ、本がないからといって困るわけでもない。
スマートフォンには漫画が入っている。
雨の日だし、『雨と君と』でも読もう。
僕の好きな漫画の一つだ。
読むたびに、こういう作品を作りたいと思う。
絵柄も、作風も好きだ。
僕が絵を描けるようになりたいと思う理由の一つも、こういう漫画を描いてみたいからなのだと思う。
ひとしきり読んだ後は、『僕とキミと』で新しい企画について考えたり、絵のことを考えたりした。
雨と君と。
僕とキミと。
我ながら、何ともくだらない連想である。
気づけば、もう秋だ。
外で本を読むのが心地よい季節になってきた。
これからは公園で過ごす時間が増えるだろうし、カフェへ足を運ぶ機会も減ると思う。
でも、雨の日は別にしてもいいかもしれない。
雨の日だけ、カフェ男になる。
そう考えていたら、先日購入した水野敬也先生の『雨の日も、晴れ男』を思い出した。
次の雨の日は、これを読もう。
雨の日に、雨の日も晴れ男を読むカフェ男。
……何だそれは。笑
そんなくだらないことを考えながら、帰路に着いた。
帰る頃には雨も上がっていた。
道には大きな水溜りができている。
その水溜りが途中で切れていて、人が一人通れるくらいの細い道ができていた。
そこへ、向かいから男の子が走ってきた。
このまま僕が進むと、あの子はどうするだろう。
立ち止まって僕が通り過ぎるのを待つか。
水溜りの中を走り抜けるか。
あるいは、ペースを落として歩幅を調整するか。
そんなことを考えて、僕は立ち止まった。
「ありがとうございます。」
男の子はそう言って、走り抜けていった。
僕も水溜りを避けながら、細い道を通る。
ほんの数秒のことだった。
その数秒すら待てないような生き方は、したくないな。
そんなことを思った。
もちろん、急がなければならない時もある。
でも、今の僕は急いでいない。
それなら、立ち止まればいい。
そうしてまた歩き始め、しばらくした頃だった。
イヤホンから、北島三郎さんの『詠人』が流れてきた。(おじゃる丸のあの曲です。)
「急が〜ず、焦ら〜ずぅ〜、参ろぉ〜おかぁ〜♪」
……今、それが流れるのか。笑
あまりにもタイミングが良くて、思わず笑ってしまった。
考えてみれば、今日の僕はずいぶん気楽な男だった。
雨だから帰ろうと思っていたのに、気まぐれでカフェへ寄る。
本がないから漫画を読む。
漫画を読みながら、絵を描きたいと考える。
雨の日のカフェ男なんてくだらないことを思いつき、帰り道では男の子に道を譲る。
そして、まったり歩いているところへ、まったりした歌が流れてくる。
何か特別なことがあったわけではない。
でも、何だか楽しい一日だった。
ただ、一つ気になることがある。
全身黒ずくめの男が、白いイヤホンを耳に着けて、雨上がりの道を一人でニヤニヤしながら歩いている。
第三者から見たら、なかなか不審な光景だったかもしれない。
まあ、ご機嫌だったので良しとしよう。