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街が消費の顔をし始める頃、僕は帰る。

朝早く都心へ行く。

人が少ない時間に歩き、
目的だけを済ませる。

パン屋と公園は早く開く。

商業施設が開き始め、
人が増え始める頃、
僕は颯爽と帰路に着く。

これは、
都心を拒絶しているのではない。

都心を、
自分の暮らしに合う形で
使っているだけだと思う。

平日に都心へ行くと、
電車では通勤ラッシュに巻き込まれる。

それなら歩けばいい。

都心まで15km。

普通の人から見れば、
少し気狂いかもしれない。

でも、自分にとってはかなり合理的だ。

通勤ラッシュを避けられる。
長距離散歩になる。
運動になる。
朝の街を観測できる。
パン屋へ向かう目的になる。

早く着くことより、
気持ちよく着くこと。

帰りは、
人の少ない電車に乗る。

それもまた、
小さな贅沢だと思う。

街に飲まれない。

必要なものだけ拾って帰る。

僕にとっての都心は、
一日中いる場所ではなく、
余暇の途中に少しだけ通過する場所になっていた。