あんドーナツがなければ、
都心へ行く理由がない。
表面上は、
ただあんドーナツを買いに行った話だと思う。
7km歩いてパン屋へ行き、
都心でもう一つのあんドーナツを買い、
自然公園で食べる。
それだけで、
かなり満ちてしまった。
商業施設が開き始めても、
特に見て回りたいものがなかった。
昔は遊園地だった場所が、
今はただ人の多い場所になっている。
もちろん、
そこに行きたい人がいることは分かる。
でも、今の僕にとっては、
買いたいものも、
見たいものも、
そこまでなかった。
これは、
物欲がなくなった話ではない。
自分の余暇が、
商業施設を必要としなくなった話だと思う。
歩く。
パンを買う。
公園で食べる。
それだけで、
もう十分に一日が成立してしまう。
都心は、
何かを買う場所というより、
あんドーナツを通過点にして、
自分の余暇を確認する場所になっていた。